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ぱらぷる帖


妄想暴走族。
by parapluplu

「鹿男あをによし」初マキメ・万城目学

いただきものの一冊。万城目作品は、yomyomで何回か読んだことはあったものの
がっつり読むのは初めて。だいたいタイトル「鹿男あをによし」からして意味がよくわからないし
いったいどんな話なんだろう・・・・とページをめくるにつれ・・・・・

万城目ワールドにすっかりかっさらわれました。

いやー、こんなに面白い本を書く作家だったとは。恐れ入りました。
森見さんと何かと比較されることが多いようだけど、私は万城目派だなぁ!

主人公「おれ」がとある事情で奈良の女子高の常勤講師になる、というスタート
なんですが、奈良についてからがもうあれよあれよと急展開の連続。
鹿(!)に、『おまえはあるものを取り戻す「運び番」なんだよ』と突然話しかけられる
という突拍子もない話なのに、一切違和感がない(笑)。それはおそらく、鹿の動作
(唐突に糞をするところや、足で耳の後ろを掻く仕草など)が極めて鹿「らしく」
描写されていることもあろうだろうし、とにかく話自体はかなりファンタジーなのに
登場人物(&登場動物)のセリフがどこまでも地に足のついた感じなのも功を奏して
いるのかもしれない。

ありえない設定なのに、全くそんなことは感じさせない話運びに
ぐいぐい引っ張られて、気がついたらラストで気持ちよく泣いておりました。
ラブもあるのに、くどくない絶妙の匙加減。

圧巻は「おれ」の生徒である、堀田イトの剣道の試合のシーン。
息を呑む展開にページをめくる手ももどかしいほど。
いやー、読ませました。

好きなシーンを抜粋して〆ます。
『振り返ると、斜面を藤原君と重さんが小走りで降りてくる。
止まらない止まらないと藤原君がうれしそうな声を上げている。
その後ろで重さんが本当だ本当だと少々妙な格好で走っている。
どうやら根っからのインドア派の重さんは、運動が苦手らしい。
それでも風を受けて髪が靡く様は、実に絵になっている』

次は「鴨川ホルモー」かな。
by parapluplu | 2011-12-16 06:19 | 読ム
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